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スケルトン天井とは|賃貸オフィス・店舗でのメリット・デメリットを徹底解説!

作成日:2024.5.7更新日:

カフェやレストランなどで、天井のコンクリートや配管がむき出しになっている、おしゃれな印象の天井を見たことはありますか?これが「スケルトン天井」です。

近年はオフィスの天井にも、このスケルトン天井を用いるケースが増えています。この記事では、賃貸オフィスや店舗でスケルトン天井を選ぶメリット・デメリットをご紹介します。

スケルトン天井について

近年、賃貸オフィスの空間デザインとして、注目を集めているのがスケルトン天井です。

そもそもスケルトンとは、建物を支える柱・梁・床など、建物の構造躯体のこと。そして、スケルトン天井とは、いわば「躯体がむき出しの天井」です。

一般的には、躯体の上に石膏ボードを貼り、壁紙(クロス)や塗装で天井を仕上げます。一方で、スケルトン天井の場合は、躯体をボードや壁紙、パネルなどで仕上げずに、構造材や配管、ダクトを露出させるデザインにします。天井の梁やコンクリート、空調や配管などが見えるような状態です。

従来は、スタジオやカフェなどで、天井の高さで開放感を出すためによく用いられてきました。しかし、近頃はオフィスの天井にもこの「スケルトン天井」をあしらうケースが増えています。

天井を調査

在来天井、システム天井との違い

スケルトン天井に対して、天井が仕上げ材やパネルで覆われた、一般的な天井はなんと呼ばれているのでしょうか?

天井の骨組みに、石膏ボードや吸音板を貼り、クロスや塗装で仕上げた天井を「在来天井」といいます。一般的な住居や、賃貸マンションの天井をイメージすると分かりやすいかと思います。

また、天井にパネルを格子状やライン状にはめ込み、必要に応じて天井設備の位置を変えられる「システム天井」も人気です。パネルを入れ替えることで、照明の位置変更など、レイアウトを容易に変えられます。また、パネルを外して天井裏の設備を確認できるため、メンテナンスがしやすいという利点もあるのです。

最も多く採用されているのは在来天井ですが、オフィスの天井としてはシステム天井も人気があります。

スケルトン天井が選ばれる理由

スケルトン天井は特に、オフィスの開放感を重視する企業に選ばれています。

スケルトン天井にすると、天井を石膏ボードや壁紙で仕上げない分、天井を高く感じます。それにより、オフィスの閉塞感を防ぎ、風通しのよい印象を与えられるでしょう。さらに、デザイン面でも革新的でモダンな印象を与えるのがスケルトン天井の特徴です。働き方に対する意識の変化によって、より自由で開放的な印象のオフィスが増えているのかもしれません。

また、初めからスケルトンで貸し出しているオフィスであれば、スケルトン天井を選ぶことで、壁紙の張り替えや原状回復のコストを節約できるのもうれしいポイントです。

スケルトン天井のメリットとは

スケルトン天井ならではのメリットをご紹介します。

照明

空間を広く見せる開放感

スケルトン天井にすると、天井を仕上げないため、物理的に天井が高くなります。

一般的な天井は、床から天井までの高さ(天井高)が2.7~2.8m。それに対して、スケルトン天井では3m以上になるケースも多く、空間の開放感がぐっとアップします。一般の天井にする場合と比べると、50㎝から1m程度は天井が高くなると考えてよいでしょう。

天井の低さは、従業員に閉塞感や窮屈さを与えることもあります。風通しがよく、働きやすいオフィスを演出するには、天井の高さも意識したいものです。

また、視覚的にもひらけた印象となるため、カフェで作業をしているような印象を与えます。フレキシブルな働き方や、創造的な職場に適したインテリアです。

デザイン性の高さと個性的な空間づくり

通常のオフィスは、白色のパネルや壁紙の天井で、空間全体がモノトーンでまとめられていることが多いです。

しかし、スケルトン天井にするとコンクリートの灰色や空調の白色など、内装の色に意外性が生まれます。素材としても、ざらざらとした粗い質感や、むき出しの金属など、オフィスというよりはカフェやデザイン事務所のような印象が生まれるでしょう。

クリエイティブで自由、おしゃれな印象を与えるには、スケルトン天井は有効な選択肢となります。

従業員の働きやすさだけでなく、取引先や顧客の方が来客した際の印象や、採用ブランディングにもつながる内装デザイン。快適に働きやすい環境を整えることで、業務効率やパフォーマンスの向上も期待できます。天井だからといって「なんでもよい」ということはなく、重要な内装デザインの要素の一つとして、企業にぴったりの天井タイプを選んでいきましょう。

スケルトン天井のデメリットとは

天井高による開放感、個性的で斬新なデザイン性など、魅力も多いスケルトン天井。

一方で、知っておくべきデメリットもあります。ここでは、スケルトン天井のデメリットをご紹介します。

デメリット

空調の効率が下がる

スケルトン天井は、天井を覆う天井材がなくなる分、外気の影響を受けやすくなります。つまり、夏は暑さ、冬は寒さを感じやすくなるのです。

外気の影響を受ける部屋では、エアコンの空調効率が低くなります。しっかりと適温を保つには、それなりの馬力が必要です。個別空調の場合は、光熱費が高くなることも考えられます。

音が反響しやすい

内装に用いる素材によって、音の聞こえ方は変わります。硬質な素材の場合は、音が反響しやすくなるといわれています。

一般的な天井では、石膏ボードやパネルが吸音材として働きます。しかし、天井を抜いてスケルトン化することで、音を吸収する天井材がなくなり、音が響きやすくなる可能性があります。

広々としたオフィスであれば、音の反響はそこまで気にならないかもしれません。しかし、特に会議室などの個室でスケルトン天井にする場合は、音の聞こえ方が気になる可能性が高いです。

特に、静かな環境で集中して作業する必要があるような業種では、防音性や遮音性を意識する必要があります。

導入や原状回復に費用がかかる場合がある

元からスケルトン貸しのオフィスであれば、そのまま天井に内装を施さなければよいだけなので、追加の工事費用は発生しません。

しかし、在来天井やスケルトン天井のオフィスを、スケルトン天井に変える場合はコストがかかります。まず、スケルトン天井にするための工事費用です。さらに、オフィス退去時に原状回復の費用も発生します。入居したときと同様に、また天井材がある状態に戻さなくてはいけないのです。

これらの費用が発生することを理解したうえで、内装デザインへの投資対効果を考慮し、最適な天井デザインを選定してください。

スケルトン天井にかかるコスト

デザイン面や天井高による開放感から、スケルトン天井にしたいとお考えの方が、やはり気になるのはコスト面ではないでしょうか。

スケルトン天井にかかる費用は、オフィスの状態や契約内容によって変わります。ここでは、スケルトン天井の導入により、予想される費用の内訳を紹介します。

コスト

初期費用

まず、すでにある天井をスケルトン天井にする際は、そのための費用が発生します。

単純に天井材を取り除くだけでなく、天井にあった配管や配線、ダクトといった設備の整理が必要です。複雑に配線が絡み合っていることもあるので、「まとめる」「移設する」など、視覚的に整頓されて見えるように調整しなくてはいけません。

ビルの躯体やコンクリートが劣化している場合は、補強や補正などの追加工事も必要です。オフィスのイメージを統一するために、天井や配管を塗装する場合は、その費用も発生します。また、解体した天井材を廃棄する費用もかかってくるでしょう。

なお、元からスケルトン天井の物件に入居する場合は、特段の初期費用は発生しません。必要に応じて、配線を整理したり、天井を塗装したりすることで、すぐにスケルトン天井のオフィスを使い始められるでしょう。

原状回復にかかる費用

基本的には、オフィスの退去時には原状回復が必要です。

原状回復とは、オフィスを入居したときの状態に戻すこと。つまり、天井が覆われている物件をスケルトンにした場合、退去時には在来天井やシステム天井を作り直さなくてはいけないのです。

原状回復が必要な範囲は、契約内容によって変わります。しかし、オフィスとして入居する場合は、元通りの原状回復が求められることがほとんどです。退去時の費用も見積もって、内装工事にかける予算を考えるとよいでしょう。

なお、スケルトン貸しの物件に入居する場合は、基本的には天井に関しての原状回復は発生しません。ただし、コンクリートの躯体を塗装したり、照明を設置したりした場合は、退去時には元に戻す必要があるので注意しましょう。

光熱費

スケルトン天井にした場合、内装工事さえ終わってしまえば、追加費用はかからないと思われるかもしれません。

しかし、石膏ボードや壁紙のないスケルトン天井は、外気の影響を受けやすいため、空調効率が落ちてしまうかもしれません。結果として、エアコンの温度設定や風力を変えざるを得なくなり、電気代が高くなる可能性があります。

この点は、オフィス内の空調機が、個別空調かセントラル空調かによっても変わってくるでしょう。

ビル全体の空調をまとめて管理するセントラル空調なら、空調の使用料は共益費に含まれている場合が多く、追加費用を支払う必要は発生しません。一方で、オフィス内のエアコンが個別空調の場合は、使えば使うほど電気料金が生じます。

建物自体の窓の素材や、断熱材によっても、オフィスの空調効率は変わります。導入されている空調のタイプや、建物自体の断熱性を考慮する必要があるでしょう。

オフィスや店舗にスケルトン天井を採用する際の注意点

スケルトン天井のメリットとデメリットを理解したうえで、高いデザイン性やクリエイティブな雰囲気を演出できるといった利点から、スケルトン天井の採用を決めようとしている方がいるかもしれません。

スケルトン天井を導入する際は、オーナーや管理会社に相談のうえで、内装業者に依頼しましょう。その際、内装工事について知っておくべき注意点をご紹介します。

注意点

工事にはオーナーの許可が必要

まず、オーナーや管理会社の許可を得ず、勝手にスケルトン天井の工事を加えるのは避けるべきです。

なぜなら、スケルトン天井にするには天井材を取り外し、天井裏の配線を整える必要があります。それらの配線が、ほかの入居者や建物全体に影響を与えることもあるのです。

また、賃貸借契約や規約によっては、物件に対して許可されている工事の範囲が定められています。「貸主が指定する業者に依頼する」など、工事業者が指定されていることもあるのです。後々のトラブルを避けるためにも、必ずオーナーや管理会社に相談のうえで工事に着手してください。

法令を順守する必要がある

オフィスや店舗の内装には、法律でさまざまなルールが設けられています。

例えば、排煙の仕組みについてです。一定の条件を満たす場合は、排煙設備の設置が求められます。

なぜスケルトン天井によって、排煙についての懸念が生じるのでしょうか。それは、スケルトン天井にすることで、天井の高さが変わるからです。

排煙窓の位置は、天井面から50cm以内(建物によっては80cm以内)にすべきという規定があります。つまり、在来天井やシステム天井を取り除いて天井が高くなることにより、従来の窓が排煙窓としてカウントされなくなる可能性があるのです。自然排煙ができなくなるため、建築基準法や消防法に抵触するかもしれません。

この場合、排煙設備の新設や、内装を燃えにくい素材にするなど、なんらかの対策を講じる必要が生じます。内装制限によるトラブルを避けるために、管理会社や工事業者など、不動産のプロに相談してから内装工事を進めましょう。

保健所の検査で不利になることも

飲食店の店舗をスケルトン天井にする場合は、保健所の許可が下りるかという点にも注意が必要です。

スケルトン天井の場合は、油煙を含んだホコリが鉄骨や配線に溜まりやすいため、しっかりと清掃できることをアピールしないと、天井を作るように指導を受ける場合があるのです。その道に精通した不動産のプロに相談し、意見を聞いておく必要があるでしょう。

照明に配慮が必要

スケルトン天井にすると天井が高くなるため、通常の照明では、手元が暗く感じることもあります。

カフェなどであれば、多少暗い店内でもムードが出ます。しかし、オフィスならしっかりと明るさを出し、快適に作業できる空間に仕上げたいところです。

せっかくの開放感を活かすためにも、照明の数を追加したり、低めの照明を吊り下げたりと、明るさの調節に工夫が必用です。また、むき出しのコンクリートを白系の明るい色で塗装することでも、「暗い」という印象から遠ざけることができるでしょう。

スケルトン天井に関するまとめ

カフェやレストランなどのカジュアルな飲食店でよく見る「スケルトン天井」。

ベンチャー企業やデザイン事務所、クリエイティブな業種など、自由で開放的な雰囲気の企業なら、スケルトン天井の採用が選択肢となるかもしれません。

一方で、フォーマルで堅実な印象のオフィスを目指すなら、一般的な在来天井やシステム天井も有力な候補となるでしょう。対外的なブランディングや、社風、業務内容などを考慮し、最適な内装デザインを選びましょう。

スケルトン天井は、天井が高くなるというメリットがある一方で、コスト面や空調機の効率など、懸念すべきデメリットもあります。この記事で得た知識を、オフィスの内装デザインにお役立ていただければと思います。

スケルトン天井に関する
よくある質問

クエスチョンマークスケルトン天井のオフィスに間仕切りを増設することはできますか?

アンサーマークスケルトン天井の場合、天井にビス固定することが難しいので、間仕切りやパーテーションを固定しにくくなります。しかし、固定の方法や柱の長さを変えるなど、工夫することで間仕切りを設置することができる場合もあります。信頼できる内装業者を選び、スケルトン天井への施工ができるかを相談してみましょう。

クエスチョンマークスケルトン天井の部屋で空調の効きをよくするには?

アンサーマークスケルトン天井で空調の効きが悪くなる理由の一つに「暖気だまり」があります。暖かい空気が天井側に溜まり、部屋の下方が冷えやすくなるのです。シーリングファンやサーキュレーター、制気口で空気循環を促すことで、空気が溜まることによる空調の効きにくさはある程度まで緩和されます。