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【完全版】オフィスにOAフロアをいれるメリットとは?|種類(樹脂製や金属製)・メーカーの違い

作成日:2024.5.9更新日:

オフィスの床にコードやケーブルなどの配線が目立ち、お困りではありませんか?

配線をすっきりと整備し、オフィスの快適性を上げるための仕組みが「OAフロア」です。この記事では、オフィスのOAフロアの仕組みを解説します。

また、素材やメーカーなど、OAフロアを比較する際の検討材料や、仕上げ材の種類もご紹介。OAフロアの検討やメーカー選びにお役立てください。

コラムの目次

OAフロアとは

OAフロアとは、オフィスの床によく見られる、配線を収納できる二重床のことです。

床の上にパネルを設置し、床とパネルの間に配線を通すことで、室内の好きな場所に電源ケーブルや電話線、インターネットのLAN線などを通すことができます。

一般的な住居の床はフローリングや畳になっているため、床下に配線を通すことができず、コンセントから延長コードなどで配線を伸ばすことになります。一方で、OAフロアの場合は床の各パネルから配線を出すことができるため、コンセントの位置を気にせず、デスクやPC、電話機を配置できるようになります。

ちなみに、OAフロアのOAとは、オフィスオートメーション(Office Automation)の略称です。情報機器を使い、事務作業などを自動化・効率化することをいいます。OA化に伴って登場した、PC・電話機などのさまざまなOA機器や、LAN線などのケーブルを収納するための床が「OAフロア」と呼ばれています。

OAフロア

二重床、フリーアクセスフロア等の呼び方の違い

OAフロアは、「二重床」や「フリーアクセスフロア」とも呼ばれます。

「二重床」とは、床の上にパネルを設置し、その間に配線類を収納するため、文字通り床が二重になっているという意味です。

「フリーアクセスフロア」とは、いわばOAフロアの正式名称です。OAフロアといえば「オフィスの床」というイメージがありますが、「フリーアクセスフロア」という言葉は工場の床など、さまざまな用途で使われています。

置き床との違い

置き床とは、一般的なフローリングの施工方法です。

床スラブに設置した支柱で床パネルを支え、その上からフローリングなどの化粧床で仕上げます。床仕上げと床パネルの間に、床暖房や床下空調を設置することもできます。

OAフロアは二重床の部分に配線を収納しますが、置き床にはそのような機能はありません。

OAフロアのメリット

OAフロアには、以下のようなメリットがあります。

    <メリット>

  • 働きやすい環境を整備できる
  • レイアウトを変更しやすい
  • 掃除がしやすい
進行方向

働きやすい環境を整備できる

OAフロアのメリットはまず、室内を働きやすく整備できること。部屋中にケーブルや配線などがあると、つまずく危険性があるほか、台車などが通りにくくなります。また、見た目の散らかった印象が気になるという方もいることでしょう。

最悪の場合は、配線の損傷により、データが消えてしまうといった事態もあり得ます。ケーブルや配線を床下に収納することで、オフィスはスッキリし、安全で整然とした作業空間を整備できるでしょう。

レイアウトを変更しやすい

組織の成長や人員の増減などにより、オフィスのレイアウト変更が必要になることもあるでしょう。

通常の床でレイアウト変更をするとなると、また配線を整理する必要が生じたり、露出配線が増えたりすることもあります。

コンセントの位置を気にしながら、延長コードなどで配線を設計するのは、なかなか大変なもの。その点、OAフロアなら床のパネルを外すことで、電源や配線の位置を変更できるので便利です。

OAフロアにすることで、室内の好きな位置から配線を取り出したり、レイアウト変更の際は移設したりすることができます。

掃除がしやすい

床にたくさんの配線があると、ほこりがたまりやすくなります。カーペットを掃除機などで掃除しようにも、配線を避けなくてはいけないため、なかなか床全面を掃除することが難しいでしょう。

OAフロアで配線を床に収納することで、掃除機やカーペットクリーナーでの床掃除が容易になります。また、見た目にもすっきりとするため、整理整頓された印象をもたらすとともに、オフィスを広々と見せてくれます。

OAフロアは大きくわけて
2種類

OAフロアには、大きく分けて「置敷タイプ」と「支柱タイプ」の2種類があります。

ここでは、それぞれの特徴や施工方法の違いを解説します。

置敷タイプ

置敷タイプとは

置敷タイプとは、パネルを床に敷き詰める仕組みのOAフロアのことです。

床に隙間なく敷き詰めていくため、支柱などで床に固定することはしません。ビス打ちも行わないため、建物を傷つけずに設置できるのがメリットです。

一方で、パネルと床を固定しないため、耐震性の面では支柱タイプに軍配が上がります。

置敷式簡易OAフロア

置敷式簡易OAフロアとは、樹脂製のパネルを支柱(固定脚)で支え、本来の床とパネルの間に隙間を作る仕組みのOAフロアです。「簡易二重床タイプ」のように呼ばれることもあります。床とパネルの間の空洞部分に、ケーブルやコードを収納します。

支柱は、床に固定するのではなく、床面の上に置くだけなので、水平の床でなくては設置できません。最も安価なタイプのOAフロアですが、通線量(配線の収納量)は少なめです。

置敷式溝配線OAフロア

置敷式溝配線OAフロアとは、パネルに溝が付いており、その溝を這わせるようにコードやケーブルを収納する仕組みのOAフロアです。単純に「溝タイプ」と呼称されることもあります。支柱を用いず、本来の床にベタ置きで設置します。

パネルの素材は、樹脂製の場合が多いですが、モルタルを使っている商品もあります。溝にコードやケーブルを這わせたうえで、パネルの上からカーペットやタイルなどでカバーします。「置敷式簡易OAフロア」と同様に、床面の上に並べる仕組みなので、設置できるのは水平の床に限ります。

その他のタイプと比べると、通線量、コスト共に中程度のOAフロアといえます。

置敷タイプの施工方法

まず、掃除機で床の埃を吸い込み、突起物を取り除きます。きれいにした床にクッションシート(アンダーレイシート)を敷き詰め、床面を安定させます。この際、壁に巾木がある場合は、床の高さが変わるため張り替える必要があります。

続いて、パネルを並べて設置します。柱や壁などでパネルのサイズが合わない場合は、パネルをカットして使います。ドアの周囲には、スロープを取り付けると段差がなくなります。

パネルの上にタイルカーペットや床タイルなどの仕上げ材を敷いたら完成です。

支柱タイプとは(高さ調整可能)

支柱タイプとは、高さ調整可能な支柱を床に固定し、その上にパネルを置く仕組みのOAフロアです。

床面が水平ではない場合にも、支柱の高さを調節することで、水平なOAフロアを設置することができます。また、床にしっかりと支柱が固定されるため、耐震性にも優れています。

一方で、大がかりな工事となるため施工時間がかかりやすく、費用も高くなりやすいのがデメリットです。

床高調整式OAフロア

支柱タイプのOAフロアは、「床高調整式OAフロア」とも呼ばれます。

パネルに支柱が付いており、支柱をビスで床に固定する仕組みのOAフロアです。本来の床とパネルの間の空間に、コードやケーブルを収納します。材質は、アルミやスチールなどの金属製が多いです。

支柱の高さを変えることで、パネルの下の空間を広げ、収納できる量を増やすこともできます。また、ビスで床に固定するため、耐久性や耐荷重にも優れています。金属製の場合は、耐燃焼性も高いという特長があります。

支柱タイプの施工方法

まず、床のコンクリート面(下地)を清掃し、極端な突起物がある場合は取り除きます。施工図に基づき、床面に割付墨を打ちます。支柱の高さを調整し、割付墨に沿って、支柱をビスや接着剤で床に固定します。

続いて、支柱の上にパネルを設置します。置敷の場合と同様に、柱や壁などでパネルのサイズが合わない場合は、パネルをカットして使います。

仕上げ材は、置敷タイプも支柱タイプも変わりません。パネルの上にタイルカーペットや床タイルなどの仕上げ材を敷いて完成となります。

OAフロア_タイプ別の
メリット、デメリット

さまざまな特徴があり、どのタイプのOAフロアを選ぶべきなのか、迷ってしまう方もいることでしょう。

ここで一度、置敷タイプと支柱タイプ、それぞれのメリット・デメリットをまとめてご紹介します。

メリット・デメリット

置敷タイプのメリット、デメリット

<メリット>

  • パネルの取り外しや配線の変更が容易
  • 施工期間が短い
  • 特に樹脂製は費用が安い
  • 部屋の形状に合わせてカットしやすい
  • 建物にダメージを与えない
  • <デメリット>

  • 耐震性が比較的低い
  • 樹脂製は耐荷重が比較的低い
  • 置敷タイプは、パネルを床に置いているだけなので、取り外しや配線の変更がしやすいです。特に、置敷式溝配線OAフロアなら、パネルの上に配線があるためご自身での変更もしやすいでしょう。

    また、樹脂製のものは金属製やコンクリート製と比べると、一般的に耐荷重が低くなります。製品の仕様にもよりますが、重たい機器などを設置する場合は、十分な耐荷重を備えたOAパネルを選んでください。

    支柱タイプのメリット、デメリット

    <メリット>

  • 支持脚で固定するため耐震性が高い
  • 床の安定感が高く、歩行感がよい
  • 耐荷重が高いことが多い
  • 水平ではない床への設置も可能
  • <デメリット>

  • 施工期間が比較的長い
  • 支柱を固定するため建物への負担がある
  • 材料費や工事費が比較的高い
  • 支柱タイプの場合は、接着剤やビスで支柱を固定するため、耐震性や耐久性が高くなります。金属製やコンクリート製の場合は5000~6000Nなど、耐荷重の高い製品も多いのが特長です。高さの調整により、水平ではない床にも設置できます。

    一方で、工事費用がかかったり、施工期間がかかったりするのがデメリットです。支柱を固定するため、ご自身でのDIYは難しいほか、賃貸ビルの場合は原状回復などの心配もあるでしょう。小規模のオフィスで重たい機器や家具がない場合は、置敷タイプのほうがコストパフォーマンスが上がることもあります。

    自社にあったOAフロアを選ぼう

    どのようなOAフロアを選ぶべきかは、オフィスの規模や配線の量、費用感によっても変わってきます。

    ここでは、以下の5つのポイントで、OAフロアのタイプ別の特徴を紹介します。自社に合ったOAフロア選びにご活用ください。

    • 製品価格、施工費用で比較
    • 施工期間の違い
    • 配線量で選ぶ
    • 耐荷重を考慮する
    • OAフロアの素材を見る
    女性のおすすめ

    ①製品価格・施工費用で比較

    まず、OAフロアの導入には以下のような費用がかかります。

    • 材料費
    • 施工費
    • 仕上げ材の料金

    材料費は、どのようなタイプの、どの素材のOAフロアを選ぶかで変わります。一般的には、置敷式簡易OAフロア<置敷式溝配線OAフロア<床高調整式OAフロアの順で費用が高くなります。また、樹脂製よりもスチール製のほうが高くなります。

    施工費も、支柱の取り付けがある分、支柱タイプ(床高調整式)のほうが高額になるのが一般的です。以下、材料費と施工費の費用相場をご紹介します。あくまでも目安の数字であり、OAフロアの仕様やオフィスの広さによって料金は変わります。

    タイプ 材料費(円/㎡) 施工費(円/㎡)
    置敷タイプ 3,000~16,000 2,000~4,000
    支柱タイプ 5,000~20,000 3,000~5,000

    その他、スロープや框などのオプションで、別途費用が発生します。施工費やオプション込みで見積もりを出してもらい、複数社の価格を比較するのもよいでしょう。

    ②施工期間の違い

    一般に、置敷タイプより支柱タイプのほうが、施工期間が長くなります。

    タイプ 施工期間
    置敷タイプ 1週間
    支柱タイプ 2週間~

    具体的な施工期間は、依頼する業者やオフィスの広さによっても変わってきます。置敷タイプなら、最短1日という短納期での施工が可能な場合もあります。

    ③配線量で選ぶ

    一般的には、置敷式簡易OAフロア<置敷式溝配線OAフロア<床高調整式OAフロアの順で配線量が多くなります。

    特に床高調整式OAフロアは、支柱の高さを調整できるため、配線量に応じてパネルと床の間の空間を変えることができます。

    例えば、オフィスに50名以上の人員を抱える場合や、サーバールームなどで配線が多い場合には、この床高調整式が適しているといえます。ただし、配線同士の混触のリスクがあるため、配線計画はきっちりと行わなくてはいけません。

    一方で、置敷式溝配線OAフロアの場合は、溝に沿って配線を収納するため、混触のリスクは少なくなります。支柱タイプに比べると収納量は減りますが、配線のしやすさはメリットとなるでしょう。

    オフィスのレイアウト変更が多く、そのたびに配線設計をするのが大変というような場合は、溝配線式のOAフロアが役立つのではないでしょうか。

    ④耐荷重を考慮する

    耐荷重とは、どれだけの重さに耐えられるかの指標です。製品カタログなどに「○○N」といった記載がありますが、これは製品の耐荷重を表しています。

    耐荷重を表す単位はN(ニュートン)です。1m²あたりに耐えられる重さを表し、1000Nは100kgに相当します。一般的なOAフロアは、3000N以上の耐荷重となっています。この場合は、1m²あたり300kgの重さに耐えられるOAフロアとなります。

    タイプ 材質 耐荷重
    置敷タイプ 樹脂 3000~4000N
    置敷タイプ 樹脂+コンクリート 3000~5000N
    支柱タイプ チール・アルミ製 3000~6000N

    製品によって幅がありますが、一般的に樹脂製のOAフロアは耐荷重が低く、コンクリートや金属製のものは耐荷重が高くなっています。

    耐荷重の目安

    一般的なオフィスなら、3000Nもあれば、耐荷重は十分かもしれません。一方で、重量物を設置する場合や、利用者の人数が多いケースでは、最適な耐荷重のOAフロアを選ぶ必要があるでしょう。

    3000N 標準的な書庫やデスク、複合機などを備えたオフィス
    4000N 大型の書棚や小型のサーバー機器を備えたオフィス
    5000N コンピューター室、サーバールームなど、大型の機器を備えた大規模オフィス

    ⑤OAフロアの素材を見る

    素材によって、コストや耐久性、耐荷重などが変わります。素材から、大まかなOAフロアのタイプを選ぶこともできるでしょう。

    樹脂(プラスチック)製

    樹脂製OAフロアは、金属製と比べて施工の容易さが特徴です。軽量であり、設置にかかる時間や労力を大幅に削減できるほか、低コストで導入が可能です。

    また、接着剤やビス打ちの必要がないため、オフィスビルへの負担を抑えられます。オーナーや管理会社が、支柱の設置に難色を示す場合にも、樹脂製で置敷タイプのOAフロアなら問題なく設置できるでしょう。

    樹脂製OAフロアのデメリットは、耐震性や耐久性の面で懸念があることです。コンクリート製や金属製と比べると、どうしても樹脂製の耐久性は低くなります。

    そのほか、歩いたときに樹脂特有の空洞音が気になるという方もいます。オフィスの使用状況や、設置する機器の重量を鑑みて、十分な耐荷重と耐久性をもつ材質を選びましょう。

    コンクリート製

    コンクリートの材質は、置敷式溝配線OAフロアや、床高調整式OAフロアで多く用いられています。

    歩行音が小さく、安定した歩行感を実現するのがコンクリート製の特徴です。耐火性や耐荷重にも優れています。また、機械の通信不良や機械誤作動を引き起こすノイズを防ぐ効果もあります。

    価格帯は、樹脂製と金属製の中間あたりです。必要な耐荷重や予算に応じて、適切な材質を選んでください。

    スチール製

    スチールの材質は、主に支柱タイプのOAフロアで用いられます。床スラブに支持脚を固定するため、耐震性に優れているという特長があります。

    耐荷重も高く、一般用の3000Nやコンピューター室にも使える6000Nなど、幅広い種類があります。

    安定性と歩行感が良好で、支柱の高さを調整できるため、多くの配線を収納できます。リサイクル性にも優れており、廃棄物の削減にもつながります。

    ただし、OAフロアの素材の中でも、金属製は材料費が高くなりやすいです。また、支柱タイプは工期も長くなりがちなので、予算を押さえて急ぎの工事を進めたいような場合には向かないといえます。

    アルミ製

    OAフロアの歴史を見ていくと、日本初のOAフロアはアルミ製で、1960年代に発売されたとされています。当時は、特に電算室や半導体製造工場で用いられていたので、アルミ製が選ばれていたのでしょう。

    現在は、通常のオフィスではアルミ製のOAフロアはあまり用いられていません。しかし、耐久性や耐荷重が高く、非磁性体のため磁場に影響されないというメリットがあります。コンピュータールームや機械室、クリーンルームや病院などに最適の材質です。

    一方で、樹脂製やスチール製と比べると、最も費用のかかりやすい材質でもあります。

    OAフロア設置の注意点

    ここでは、OAフロアを実際に設置する際の注意点をご紹介します。

    注意点

    ドア部分はスロープに

    OAフロアにすると、元々の床の上にパネルを置くため、床の高さが少し上がります。

    しかし、ドアの外の廊下は二重床ではないため、室内と廊下で床の高さに違いが生まれます。ですから、OAフロアと一般フロアの境目には、框(かまち)と呼ばれる見切り材でつなぎ目をつくります。これを「床見切り」といいます。

    なおかつ、段差を作らないためにドア周辺にスロープ加工を施し、なめらかな傾斜にするのが一般的です。スロープ加工により、安全性を向上させるとともに、ユニバーサルデザインの観点からもアクセスしやすいオフィスとなるでしょう。

    車いすをご利用の方だけでなく、台車やキャスター付きの家具など、スロープが役立つ場面は意外と多いものです。DIYでスロープを加工するのは難しいため、専門の業者に依頼することをおすすめします。

    OAフロア設置の注意点

    OAフロアの設置工事は、ビルの構造に影響を与える可能性があります。事前にビル管理者やオーナーに相談し、許可を得ておく必要があります。無断で工事を行うと、トラブルの原因になる恐れがあるのでご注意ください。

    特に支柱タイプのOAフロアを導入するなら、床に支柱を固定することになります。施工方法に問題がないか、あるいは原状回復にかかる費用についても、あわせて確認しておきましょう。

    加えて、工事中の騒音や工具による振動が他のテナントに与える影響を最小限に抑える必要があります。夜間や休日に工事を行うなど、適切な工事スケジュールを組むとよいでしょう。

    事後のトラブルを回避するためには、OAフロアの材質や、工事業者、施工方法や配線工事の日程など、しっかりと管理会社やオーナーと目線を合わせておきましょう。

    配線量に応じて床の高さを決める

    支柱タイプの場合は、レベル調整によって床の高さを変えられます。また、置敷タイプのOAフロアも、製品によって高さが異なります。

    一般的なオフィスでは、40~50mm程度の低床タイプが多く用いられています。一方で、150mm~300mmなど、かなりの高さをもつOAフロアもあります。では、どの程度の高さのOAフロアを選ぶべきなのでしょうか。

    <OAフロアの高さの目安>

    高さ 収納量 オフィスの特徴
    40mm~50mm 少なめ 30名程度の小規模オフィス
    70mm~100mm 中程度~多め 50名以上の中規模~大規模オフィス
    150cm~300mm 多め サーバールームや電算室など

    なお、OAフロアの高さが50mmだからといって、配線を収納できる空間も50mmとは限りません。パネルの下に配線を入れる場合、床高は30mmということもあります。

    注意したいのは、床の高さを上げると、天井の高さが低くなることです。一般的なオフィスビルであれば、天井の高さはそこまで気にならないかもしれません。しかし、古いビルで元から天井が低いような場合には、二重床にすることで圧迫感につながることも。内装業者に相談のうえで、最適な床の高さをご検討ください。

    また、OAフロアの床の高さだけでなく、パネルの大きさも多種多様です。250mm×250mm、450mm×450mm、600㎜×600mmなど、メーカーによってさまざまな寸法があるため、オフィスの広さに適したサイズを選んでください。

    コンセントマーカーを活用する

    コンセントマーカーとは、床下に収納したブロックコンセントやハーネスジョイントボックスの位置を確認するための目印です。「フロアマーカー」や「カーペットピン」「マーカーピン」とも呼ばれます。仕上げ材の上から取付けることができます。

    一般的に、「電話線」「電力線」といった配線器具の種類によって、金・銀・銅などで色分けをします。床下に収納したコンセントの位置を簡単に見つけられます。

    その他、差込型・抜止型などのOAタップや、パネルの開口部をカバーするキャップなど、適宜アクセサリーを導入することで、OAフロアの利便性が高まります。

    コンセントの種類

    OAフロアのコンセントには、大きく分けると「床内接続タイプ」と「床内接続・床上取出し両用タイプ」の2種類があります。

    <床内接続タイプとは>

  • OAフロアの中に完全に収納されるコンセント。
  • 導入コストが低く、簡単に設置できるのが特長。
  • 中でも、ハーネス方式のコンセントは通電部に埃を寄せ付けず、抜け止めロックや結線完了の確認機能を備える。
  • <床内接続・床上取出し両用タイプとは>

  • 蓋を開けて、フロアの上に配線を取り出せるコンセント。
  • 目視でコンセント位置を確認しやすい。
  • 必要に応じて床を補強する

    金庫や大型の家具など、重量物を置く場合は、床の補強が必要です。

    重量物のある部分に合わせてOAフロアの耐荷重を決めると、全体のパネルの材料費が高くなります。オフィス全体は3000Nなどの通常の耐荷重で、重量物を置くエリアのみ、床の補強工事をすることをおすすめします。

    この場合、OAフロアの上ではなく、重量物は補強工事をした床に直接設置します。補強済みの床とOAパネルの高さを合わせ、同じ床材で仕上げれば、見た目上は違いが分からなくなります。

    耐荷重を超える重さの家具を置くと、OAパネルが破損する危険性があります。重量物はOAパネルに設置せず、必ず床の補強工事を実施してください。

    迷ったらこの基準で選ぼう

    OAフロアを導入するとき、どのような基準で製品を選ぶべきなのでしょうか。

    ここでは、OAフロア選びの判断材料となる、信頼できる製品の見分け方についてご紹介します。

    選考基準

    JEFA認証品

    「JAFA性能評価認証制度」とは、JAFA(フリーアクセスフロア工業会)が定める、OAフロアの性能認証制度です。

    OAフロア選びを助けるとともに、製品への信頼性を向上させるための制度です。耐荷重や不燃性といった性能について、4段階のグレードで評価します。

    また、帯電性や耐衝撃性、耐震性といった品質も評価の対象です。この認証を受けた製品は、安全性や機能性の面で信頼できるでしょう。

    建築材料・設備機材等品質評価性能評価事業

    公共建築協会が行っている「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」とは、通常は各工事現場で確認する品質や性能、品質管理・製造管理、納入体制やアフターサービスについて、あらかじめ審査を行う事業です。

    国土交通省大臣官房官庁営繕部制定による、「公共建築工事標準仕様書及び公共建築改修工事標準仕様書(標準仕様書)」に基づいて審査が行われます。

    製品の品質の証明になるとともに、信頼できる材料の選定にも役立ちます。ただし、申請者には3年以上の材料等の管理実績が必要なため、ある程度の歴史と実績をもつメーカーが対象です。

    OAフロアの
    おすすめメーカー

    「JAFA性能評価認証制度」や「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」の認証を受けた製品を販売する、おすすめのOAフロアのメーカーをご紹介します。

    おすすめ

    共同カイテック

    共同カイテックは、1950年に東京都港区に設立された環境設備メーカーです。電力幹線システム、屋上・壁面緑化システムと並ぶ三本柱の一つとして、OAフロアシステムを製造・販売しています。

    低床置敷式(溝配線)の「ネットワークフロア」や置敷式の「ハイスチール」、支柱調整式の「クワッドフィックス600」など、各種タイプのOAフロアを製造しています。

    JAFA性能評価の認証を受けており、安心して利用できるOAフロアです。最長10年間の長期保証が付いており、高耐久性で長寿命な製品でもあります。共同カイテックは、フリーアクセスフロアの製造・販売に密接に関連する企業として、JAFAの正会員にも選ばれています。

    フクビ化学工業

    フクビ化学工業の前身となる福井ビニ―ル工業株式会社は、1953年に福井県で設立されました。建築資材や産業資材の開発・製造・販売を行う化学メーカーです。

    木質系、スチール系、樹脂系といった素材別で、置敷タイプ・置敷溝配線タイプ・レベル調整タイプといった各種製品を展開。商品数の多さも特徴の一つです。

    「クリーンOAフロア TN-50」は日本で初めて、樹脂製置敷OAフロアでエコリーフ環境ラベルを取得しました。床高さは30mm・50mm・100mmに対応している、リニューアル工事に最適な置敷タイプのOAフロアです。フクビ化学工業もまた、JAFAの正会員企業です。

    イノアック住環境

    イノアック住環境の前身となるエムテーピー化成は、1954年に創立されました。名古屋に本社を置き、主に住宅、建築、土木、環境関連に特化した事業を展開する企業です。

    置敷タイプの「NPシリーズ」、支柱分離式の「NeoFOSPAシリーズ」や「MOSAICシリーズ」「アルミパネルシリーズ」などを展開。樹脂、スチール+モルタル、スチールやアルミダイカストなど、さまざまな素材のOAフロアを販売しています。

    また、床材を中心とした関連商品も取り扱っており、OAフロア用のフローリング仕上げ材も展開しています。イノアック住環境も、JAFAの正会員企業です。

    オーエム機器

    オーエム機器は、1973年に創立された、住宅商品やオフィスビル商品、福祉機器商品などを取り扱う会社です。

    暖房機能を備えたOAフロアである「ヒーターOAフロア あたぱねる」、天然石材・タイルで仕上げる「石貼りフロアOP8システム」など、さまざまな種類のOAフロアを販売しています。

    ウッドコア+スチールのカシメ構造により、高強度・高耐久性を実現している「OAフロアOP2システム」はJAFA認証品かつ公共建築協会評価品であり、機能性と信頼性を十分に備えています。オーエム機器もJAFAの正会員企業です。

    センクシア

    1972年に設立されたセンクシアは、建材機器の製造・販売に携わる会社です。主力製品の一つが、フリーアクセスフロア(OAフロア)です。

    地震対策や環境対策に対応したOAフロアを展開しています。人と環境にやさしい素材を用いた「ウッドコアスチールフロア(WSA500N / WSB500N)」や、空調消費エネルギーを抑える「美風®(KSB500CAR)」など、環境対策やエコに特化したラインナップが特徴的です。

    製品の多くは、JAFA認証品と公共建築協会評価品のいずれか、または両方の基準を満たしています。

    また、公式ページからはフリーアクセスフロアの各種CADデータもダウンロードできるため、寸法の確認やレイアウトに役立ちます。センクシアもJAFAの正会員企業です。

    スミノエ

    スミノエは1998年に設立された、大阪府に拠点を置く企業です。各種インテリア製品の企画・販売を行っています。

    同社の代表的なOAフロアは、SEライトS(50・70・95型)と、SEライトN(50型)です。特にSEライトSシリーズは、エコマーク認定商品であるとともに、軽量ながらJAFA規格の3000Nに対応しています。

    OAフロア上の仕上げ材

    OAフロアそのものは、樹脂製や金属製などのパネルです。その上に床材を敷き、通常の床のように仕上げる必要があります。

    代表的な仕上げ材に、タイルカーペットや床タイルがあります。住宅で使用するようなフロアマットやクッションフロア、長尺シートやフローリングは、一般的にはOAフロアの上には使用しません。

    タイルカーペット

    タイルカーペットを敷く

    オフィスの床として最も標準的なのは、タイルカーペットでの仕上げではないでしょうか。

    タイルカーペットは、ピールアップボンドという特殊な接着剤で設置します。

    これにより、簡単に貼ったり剥がしたりできるのり加工が仕上がります。カーペットをめくるだけでOAフロアが露出するため、配線の変更や増設も簡単です。

    帯電防止や遮音、防臭など、さまざまな機能を備えたタイルカーペットもあります。目的に合ったカーペットを選んでください。

    なお、タイルカーペットの床をOAフロアに変更する場合は、仕上げ材の再利用が可能です。

    ノリ加工したタイルカーペットは、何度も貼りなおせます。OAフロアに床下をリフォームしてから、既存の床材を再度設置しても構いません。

    床タイルを敷く

    床タイル(フロアタイル)のメリットは、土や砂などの汚れもすぐに拭き取れること。飲み物や食べ物をこぼしたときの掃除もしやすく、メンテナンスのしやすさが魅力です。

    石タイルや木目調のフローリングタイルなど、表面の材質で部屋の印象が変わります。色や種類も多様なので、デザイン性の高い床仕上げが可能です。タイルカーペットと同様に、OAフロアに直接敷くことができます。

    OAフロアに関するまとめ

    通常の床をオフィスとして利用すると、PCや電話、インターネットのLAN線など、大量の配線をまとめる必要があります。露出配線をモール線などでカバーすることはできますが、通行の邪魔になる可能性があるほか、見た目上もすっきりしません。

    そこで、配線を整理するために検討したいのが、二重床OAフロアです。床とOAパネルの間に、配線を収納することができる機能的な仕組みを備えています。

    OAフロアのタイプによって、金額や工期、耐久性や耐荷重など、さまざまな違いがあります。例えば、一般的な事務室や会議室であれば、耐荷重は3000N程度で問題ないでしょう。一方で、大型の家具やサーバーなどの重量物を置く場合は、それに応じた耐荷重のOAフロアを選ばなくてはいけません。

    また、一部の製品は免震効果や暖房効果、空調の消費エネルギーを削減する効果など、特徴的な機能を備えています。オフィスのニーズに合った性能のフロアを選んでください。

    OAフロアに関する
    よくある質問

    クエスチョンマークタイルカーペットをOAフロアにリニューアルできますか?

    アンサーマーク可能です。タイルカーペットを剥がし、設置工事を行います。ただし、賃貸物件の場合は、必ずオーナーや管理会社に確認が必要です。

    クエスチョンマークOAフロア工事にかかる時間は?

    アンサーマークオフィスの大きさや工事内容によってさまざまです。一般に、オフィスの面積が広く、配線の量が多いほど、時間がかかる傾向にあります。