01 | オフィスデスクの基本知識
オフィス用デスクの選び方ガイド:
最適なサイズと寸法の決め方
作成日:2024.5.9更新日:
内勤の方がオフィスで働くとき、ほとんどの時間を使うのが「デスクの前」です。
使うデスクの種類やサイズは、オフィスの使いやすさや働きやすさを左右する、非常に重要な要素です。では、どのような点を意識してオフィスを選ぶべきなのでしょうか。
この記事では、最適なオフィスデスクのサイズを決定する際に注意すべき点を紹介します。
オフィスデスクの基本知識
まずは、オフィスデスクを選ぶうえで知っておきたい基礎知識を見ていきましょう。
サイズ表記
オフィスデスクのサイズは、幅(W)、奥行き(D)、高さ(H)の順でミリメートル(mm)単位で表記するのが一般的です。ちなみに、W、D、Hというのは幅・奥行・高さの英語の頭文字をとったものです。
- ・幅=W(wide)
- ・奥行=D(depth)
- ・高さ=H(height)
例えば、横幅が120cm、奥行が70cm、高さが70cmのデスクのサイズは以下のように表記されます。
- ・幅1200×奥行700×高さ700mm
- ・W1200×D700×H700mm
サイズというと、横幅・奥行を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、快適に使うためにはデスクの高さも非常に重要です。幅(W)、奥行き(D)、高さ(H)をそれぞれ確認し、理想のサイズのデスクを選びましょう。
デスクの定番の3種類(袖机・平机・ロングデスク)
ひとくちにオフィスデスクといっても、さまざまな種類があります。
- ・袖机(片袖・両袖)
- ・平机
- ・ロングデスク
袖机といって、収納(引き出しやキャビネット)が付いているデスクは、オフィスではよく見られます。片側に収納が付いているのを「片袖」、左右に収納が付いているのを「両袖」のデスクといいます。一般には、オフィスでは片袖机が使われていることが多いです。
あるいは、収納なしの「平机」や、横長の机を複数人が使う「ロングデスク」を使うオフィスも多いです。収納が必要な場合は、机の下にキャスター式のデスクワゴンを入れてもよいでしょう。特にロングデスクは、人員が増減しても机の数を都度変更する必要がないというメリットがあります。
デスクの定番サイズ
さまざまなデスクサイズがありますが、どの程度が基準となるサイズなのでしょうか?
デスクの幅(W)、奥行き(D)、高さ(H)の目安となる、それぞれの標準サイズをご紹介します。
デスクの幅の基準
デスクの幅は、1000mmの比較的小さめのデスクから、1600mmのゆったり使えるデスクまで、さまざまです。
標準サイズの横幅は1200mm。電話やPCを置いても、ある程度の余裕があり、書籍や資料などを保管することができます。また、隣の人の距離も生まれるので、広々と仕事ができるだけのデスクの横幅です。
一方で、1000mmのデスクは営業職など、デスクワークがメインではない職種の方のデスクに適しています。短時間のPC操作や資料閲覧であれば、この1000mmのデスクでも十分でしょう。
さらに大きな1400mm~1600mmの横幅は、大型デスクトップや複数のモニターを使う必要のある職種や、役員の机などに採用されることが多いです。かなり広々としているので、机の下にデスクワゴンを2台入れたり、両袖机にしたりすることもできるでしょう。
デスクの奥行の基準
デスクの奥行の主流は、600~700mmです。比較的コンパクトですが、薄いモニターやノートPCが浸透している近年は、特に700mm程度の奥行のデスクが多く採用されています。
750mmの奥行のデスクは、前方にゆとりが生まれ、簡易的な本棚やファイルなどを置けるサイズとなります。ノートPCのほかにモニターを設置する場合は、このくらい奥行きがあると喜ばれます。
ブラウン管で厚みのある、大型のデスクトップPCを机の上に置いていた1970年代~2000年頃までは、800mmの奥行のデスクも多くみられました。
2000年代以降は、オフィスで使うPCはノートPCが主流となり、段々とオフィスのデスクの奥行きもコンパクト化していきました。現代は、ノートPCを置ける一方で、多少のゆとりは確保できる700mm程度が、最も一般的なデスクの奥行きといえるでしょう。
デスクの高さの基準
実は、デスクの高さには基準が設けられています。歳月を経て、変わってきたデスクの高さの規格をご紹介します。
戦後、米軍規格のデスクが導入された当時は、アメリカの標準であった740mmがデスクの高さの標準とされていました(旧JIS規格)。しかし、日本人の身長に対しては高すぎるということになり、1971年にJISが「700mm」に規格を改めます(新JIS規格)。
そこからさらに歳月が経ち、1999年にJISの寸法規定は参考扱いになりました。現在は、JOIFA(一般社団法人日本オフィス家具協会)が設けた「720mm」が一般的なデスクの高さとされています。
720mmは、1971年当時よりも高くなった日本人の平均身長や、外国人ワーカーの増加、身障者の雇用拡大による車いすワーカーの増加などの背景に対応するデスクの高さです。
なお、720mmは誰にでも適合する高さというわけではなく、身長や手足の長さによって最適なデスクの高さが変わります。昇降式デスクなど、高さを調整できるデスクを導入するとなおよいでしょう。
完璧なオフィス環境を作る!デスクサイズ選びの重要ポイント
オフィススペースの広さや業務内容によっても、最適なオフィスデスクのサイズは変わってきます。
一人ひとりの使いやすさを重視するなら、オフィスデスクの「高さ」も大切ですが、レイアウトを考えるうえでは、まず「天板のサイズ」を考えなくてはなりません。天井から見た2Dの見取り図上で、使える床面積は限られていますから、その面積を有効活用できるようなデスクレイアウトを考える必要があります。
ここでは、オフィスデスクの天板のサイズ(幅×奥行)を決めるうえで意識すべきポイントをご紹介します。
①オフィススペースからデスクの台数を正確に把握しよう
ゆとりあるサイズのデスクにしたいと思っても、オフィスの面積に十分な広さがなければ、大きなデスクのせいでかえってオフィスが狭い印象となってしまうかもしれません。オフィススペースの広さや、従業員の人数に合わせて、適切なサイズのデスクを選ぶ必要があります。
オフィスの寸法入り図面などを参考に、デスクを配置する面積を調べましょう。椅子を引いた状態でもぶつかることのない通路幅や、出入り口からの動線なども考慮して、スペースを有効活用できるようなレイアウトを考えなくてはなりません。
また、オフィス内に置くべきものはデスクだけではありません。キャビネット、コピー機、ロッカー、ハンガーラックなど、什器や備品用のスペースも確保し、使いやすい動線を設計する必要があります。
まずはワークデスクを置けるスペースの広さを見極める一方で、何人分のデスクが必要かによって、1人当たりのデスクの広さを考える必要があるでしょう。
使えるスペースに対して従業員の数が多い場合は、無理に狭いデスクを何台も入れるよりは、リモートワークなどを導入してゆとりを持たせたレイアウトにすることをおすすめします。
レイアウトに必要な「ゾーニング」とは
オフィスには、さまざまなゾーンがあります。デスクを並べる「執務ゾーン」、キャビネットなどの「収納ゾーン」、コピー機などの「共用ゾーン」、そして動線となる「通路ゾーン」といったゾーンに、適切な広さを分配し、使いやすい動線を考えなくてはいけません。
これらの各ゾーンの広さや配置を決めることを「ゾーニング」といいます。
各ゾーンにオフィス面積の何%を分配するのか、あるいは出入り口から各ゾーンへ、そして各ゾーン間を行き来する動線は使いやすいかなど、見取り図にレイアウトを配置しながら、最適なゾーニングと動線を考えてみましょう。
1人当たりに必要なワークスペースの広さ
オフィスの1人当たりの広さは、約3坪が目安といわれています。しかし、これは会議室や共用スペースを含んだ広さで、デスク1台につき周辺に3坪の面積を確保しなくてはいけないわけではありません。
では、デスク+椅子でどの程度の床面積が必要なのでしょうか。以下の例を見てみましょう。
- デスクの大きさは W1200mm × D700mm
- 椅子を引いたときの幅は 700mm
このデスク+椅子をセットにしたワークスペースの面積は、W1200mm×D1400mmで、平米にすると1.68㎡。坪で換算すると約0.5坪です。もちろん、通路などを加味する必要はありますが、1人当たり0.5坪~1坪程度の広さがあれば、十分なワークスペースを確保できるのではないでしょうか。
例えば、ワークスペースが15坪程度あるなら、15台程度はデスクと椅子を並べられることが想定されます。
②通路幅を考慮してレイアウトを組もう
快適に使えるデスク周りにするために、最低限知っておきたい、デスク周辺の通路幅の目安をご紹介します。
- ① デスクとデスクの間の通路幅:90cm~
- ② 座席と座席の間の通路幅:160cm~
- ③ デスクと壁の間の通路幅(動線の場合):110cm~
- ④ デスクと壁の間の通路幅
(動線ではない場合):90cm~ - ⑤ 座席と収納の間の通路幅:160cm~
まず、人が1人通るために必要な通路幅は「60cm」、2人が横向きですれ違える幅は「90cm」とされています。デスク周りは人が出入りをする空間なので、最低でも90cm程度の幅を確保したいところです。
また、座席の背面の通路幅を考える際は、椅子の奥行きや、椅子を引いたときの幅も考慮する必要があるでしょう。
着席時の座席の奥行きの50cmに、椅子を引く幅の目安である40cmをプラスして、90cm程度が座席の後ろに必要な通路幅となります。座席の背面が動線になっている場合は、着席時の50cm+人が1人通るための60cmで、110cm以上の通路幅が望ましいです。
また座席の後ろに収納がある場合は、収納の扉を開けても椅子にぶつからないように、扉の幅を考慮して通路幅を決めなくてはなりません。目安としては、160cm以上の通路幅を設ける必要があるでしょう。
③部署や業務に応じてデスクサイズやデスクタイプを選ぼう
従業員の部署や業務によっても、適切なデスクのサイズや種類は変わってきます。
「デスクの大きさはどのようにするか?」「引き出しや収納を付けるべきか?」など、デスク選びに必須の条件も、業務内容によって違いがあります。ここでは、部署や業務に応じたデスクの選び方をご紹介します。
営業職の多い職場におすすめのデスク
営業で外回りが多く、反対にデスクワークは最低限の職場なら、デスクサイズはそこまで大きなものでなくてもよいでしょう。
例えば、幅1000×奥行600mm程度のコンパクトなオフィスでワークスペースを小さくまとめ、空いたスペースに休憩用のソファなどを置くこともできます。
小さなデスクだと収納が確保しにくいため、引き出し付きのデスクを選んだり、個人ロッカーを導入したりするのもおすすめです。
内勤職の多い職場におすすめのデスク
内勤職の方にとって、デスクはまさに1日の7時間以上を過ごすことのある、働きやすさと直結する場所です。
デスク環境は健康状態やモチベーション、生産性にもつながってくるため、特にゆとりのある快適なデスク周りを意識したいところです。
幅1200mm以上、奥行700mm以上といった「標準以上」のデスクサイズなら、PC以外にもカレンダーや書類など、必要なものを置くことができるでしょう。
オフィスに常駐する内勤の方なら、必要なものを置いて帰れるように、デスクワゴンなどの収納がデスクの近くにあると便利です。
リモートワークの多い職場におすすめのデスク
リモートワーク・テレワークで、常に人がいるとは限らないオフィスなら、必ずしも全員のデスクを用意する必要はありません。
出社した人が好きな席に座れる「フリーアドレス」の仕組みにするなど、自由度の高いオフィス設計が可能になるでしょう。デスクも、1人1台のデスクではなく、6人~10人程度で使える大きめのデスクを用意し、カフェスタイルで好きな席に座ってもらうこともできます。
また、リモートワーク主体の会社なら、会社に置いておく荷物は少ないことが想定されます。できるだけペーパーレス化を行い、収納やロッカーのスペースを削減することで、より効果的にオフィスの面積を使うことができるでしょう。
クリエイティブ職や役員室におすすめのデスク
デザイナーなどのクリエイティブ職で複数のモニターやタブレットを利用する方や、社長用・役員用のデスクであれば、かなり大きな幅1400~1600×奥行800mm程度の天板を選ぶのもおすすめです。
特に社長や役員の方は、専用の内線電話や資料、契約書など、デスク周りに置くべきものが多いです。広々としたデスクを設えるとともに、壁や窓を背にしてオフィスの奥に社長・役員用の席を設けることで、ほかの社員との職階を明確に分けることもできるでしょう。
オフィスに最適なデスク・椅子の高さは?
よく言われるのが、身長に応じて適切なデスクや椅子の高さが変わるということです。背の高さに合わせて簡易的にデスクの高さ、椅子の高さを決めるなら、以下のような計算式が役に立ちます。
- 適切な座面の高さ=身長 × 1/4……(A)
- 最適な差尺=身長 × 1/6……(B)
- 適切な机の高さ=(A)+(B)
例えば、170cmの方に適切な椅子の高さは、42.5cm。差尺(座面と机の高さの差)は約28cmなので、適切な机の高さは42.5cm+28cm=約70.8cmとなります。多くの机は1cm刻みなので、71cm程度の高さのデスクが最適といえるでしょう。
ちなみに、座面の高さとは、地面からお尻が触れる椅子の上面までの高さのことです。机の高さとは、地面から机の上面(天板の表面)までの高さを指します。
もっと精密に最適なデスク・椅子の高さを計算するには
上記では、身長の高さから、デスクや椅子の高さを簡易的に算出する方法をご紹介しました。
しかし、同じ身長でも足の長さによって、当然のことながら適切な椅子の高さは変わります。あるいは、手の長さによって、同じデスクの高さでもPCを触るときのひじの角度が変わってくるでしょう。
その場合は、一般的な椅子の高さや差尺にこだわるよりも、「自分の身体の状態がどうなっているか」が一番大切です。
STEP1.身体の状態に基づいて椅子の高さを選ぶ
ご自身の体に合ったデスク・椅子になっているかは、以下のポイントをチェックしてみてください。まず、座面の奥まで深く腰かけ、骨盤上部をしっかり背もたれに付けてみてください。この状態で以下の条件を満たせていれば、正しい姿勢でデスクを使用できているといえます。
- ・足の裏の全面が床についている。
- ・ひざ上が地面と平行になっている。
<椅子の高さ>
この姿勢を意識すると、安定して疲れにくい座り心地が体感できるのではないでしょうか。そして、身長を基に計算した椅子の高さは、必ずしも最適でないことが分かります。
例えば、170cmの方に適切な椅子の高さは42.5cmとされていますが、ひざ下の長い方がひざを直角に曲げて座るには、45cm以上の座面が必要になることもあるのです。
STEP2.身体の状態に基づいて
デスクの高さを選ぶ
続いて、この正しい姿勢でPCを操作してみましょう。以下のチェックポイントを満たせていますか?
- ひじ上を地面と垂直にして、PCのキーボードを操作するとき、ひじ下とひじ上の角度が90度以上。
<机の高さ>
腕の長い方なら、ひじを起点にしてひじが斜め上に持ち上がる(90度未満になる)のではないでしょうか。この場合、机が高すぎるか、椅子が低すぎる可能性があります。
上記の<椅子の高さ>と<机の高さ>の基準を満たすと、人によっては差尺が20cmなど、標準的な寸法とは変わってくるかもしれません。しかし、差尺はあくまでも目安の数値です。大切なのは、負担のかからない姿勢でデスク作業に取り組めることなので、ご自身の身体の状態を大切に高さを調節してみてください。
快適な高さでデスク・椅子を使うためのポイント
ここまで、最適なデスク・椅子の高さを調節するうえでのポイントをお伝えしました。
しかし、オフィスによってはデスクや椅子を調節できない場合もあるでしょう。リモートワークで、手持ちのデスクを仕事に使っており、高さが合わないが買い替える余裕もない……といった事態も考えられます。
そんなときも、できることはあります。以下のポイントを参考に、ご自身でも身体の使い方を調整し、快適に働くための工夫を取り入れてみましょう。
身長別・快適にデスクを使うためのポイント
まず、身長の高い方は椅子が低い、あるいは机が低いことがネックになる場合があるでしょう。それぞれ、以下のような対策ができます。
- ・クッションで座面の高さを上げる。
- ・机に継ぎ脚をして机の高さを上げる。
<背の高い人は……>
あるいは、身長の低い方は、机の高さに合わせて椅子の高さを上げたときに、足の裏が完全に地面につかないこともあり得ます。机に対して椅子は調整可能な場合が多いですが、足の裏が安定しない場合は以下のような工夫が必要です。
- ・足元にフットクッションを入れる。
- ・フットレスト付きの椅子を導入する。
<背の低い人は……>
ご自身の体形に合わせて、柔軟に使い方を工夫することが大切です。
身体に負担をかけない姿勢のポイント
また、共通して意識したい「快適にデスクを使うためのポイント」には、以下のようなものがあります。
- ・椅子の奥深くまで座る
- ・骨盤の上部を背もたれにつける
- ・ひざの曲がる角度を直角にする
- ・ひざ下を垂直に地面につける
- ・お尻から頭までを地面と垂直にする
- ・一度上を向いて顎を引く
<姿勢を保つためのポイント>
「姿勢を保つと疲れる」という印象をもつ方もいますが、正しい姿勢で座ると疲れにくく、長時間心地よいお身体の状態で働くことができます。ぜひ上記のポイントをお試しください。
モニターの高さも大切
ノートPCのディスプレイ画面は、正しい姿勢で座った目線の水平から、少し下にあるのが望ましいとされています。ディスプレイ画面までの距離は、目から40cm以上を維持しましょう。
ノートPCとは別で、外部モニターを画面として利用する場合は、椅子に座って腕を前に出したときに、手が触れるか触れないかくらいの距離が適切です。
外部モニターの高さは、画面の上部が目線の先に来るように調整しましょう。高さが足りない場合は、モニターの下に台を入れて高さを上げるとよいでしょう。
業務効率アップの秘訣!進化するデスク形態
ここまで、定番のデスクの種類やサイズ、高さの調節方法などをお伝えしてきました。
近年、デスクの形態はさらに進化を遂げており、定番のものだけでなく、新しいスタイルのデスクも登場しています。この章では「ちょっと珍しい」最新型のデスクの種類をご紹介します。
昇降式デスク
オフィスデスクで近年人気を集めるのが、高さを調節できる「昇降式デスク」です。
机の高さを変えることができるため、さまざまな体形の方に対応できるほか、立って仕事をする「スタンディングデスク」として使うこともできます。
電動のイメージが強いですが、手動の昇降式デスクもあります。いつも同じ方が同じデスクを使うような仕組みのオフィスなら、手動でも大きな問題はないでしょう。ただし、入社や退職のたびにデスクを調整する手間がかかるため、その点は電動昇降式デスクのほうが便利です。
特に、フリーアドレス制のオフィスで、さまざまな方が同じデスクを使うなら、いつでも高さを変えられる電動の昇降デスクがおすすめです。
スタンディングデスクのメリット
スタンディングデスクを導入することで、気分転換になる、生産性が上がる、運動不足の解消になるといったメリットが期待できます。社員満足度を上げるための社内の取り組みとして、エンゲージメント向上や採用ブランディングにつなげることもできるでしょう。
また、健康面でも大きなメリットがあります。
近年、座っている時間が長いことがもたらす、健康上のリスクが取りざたされています。京都府立医科大学が発表した研究結果によると、一日のうちの座っている時間(座位時間)が長いほど、健康リスクが増大することがわかっています。
特に、脂質異常症、高血圧、糖尿病といった疾患を抱える方は、そのリスクの増加が顕著にみられたといいます。健康経営を目指すうえで、スタンディングデスクの導入は社員にも会社にも大きなメリットをもたらす施策だといえるでしょう。
L字デスク
L字デスクとは、椅子に着席したときに体の前面だけでなく、側面にも天板が来るような形のデスクです。前面と側面がL字を描くため、このような名前が付いています。
長方形の机に比べて、卓上を広く使いやすく、足元も広々としたスペースを確保できます。
座席の2面を囲むような形のデスクで、特に役員用の机や、簡易的な受付のデスクとして人気があります。あるいは、部屋の角に付けるデスクとしてL字デスクを採用することもできます。
執務スペースで使ってもよいのですが、通常の長方形の机よりは、少々スペースを広く使う必要があるのが難点です。社員のパーソナルスペースを重視するなら、このL字デスクで卓上を広く使ってもよいでしょう。
個別ブースデスク
個別ブースデスクとは、デスクの周辺にパーテーションが設けられ、隣や向かいの席と間仕切りがあるタイプのデスクです。
コールセンターなど、電話の回数が多いオフィスでは、音を遮るためによく採用されています。集中できる環境を作れる一方で、閉塞感が生まれやすいというデメリットもあります。
「オフィスのデスクサイズ」に
関するまとめ
オフィスでの生産性を最大化するには、デスク選びが非常に重要です。適切なサイズのデスクを選ぶことは、社員の能力を存分に発揮させ、作業効率を大幅に向上させます。
このコラムでは、定番のデスクの種類に始まり、デスクサイズの目安や、適切なデスクや椅子の高さの算出方法、最新のデスク事情などを詳しくご紹介しました。
オフィスに必要な広さは、一人当たり約3坪が目安とされていますが、これは会議室や休憩室を含めた広さです。デスク回りの広さとしては、一人当たり0.6坪~1坪程度のスペースを確保できると、ゆとりをもってデスクの環境を整えられるでしょう。
また、広さだけでなく、デスクのサイズや高さも使いやすさに大きな影響を与えます。
多くの方が使うデスクなら、調整のしやすい昇降式のデスクがおすすめです。社員も各々で、ご自身の身体に適したデスクや椅子の高さを知ることで、健康管理やパフォーマンス・モチベーションの維持がしやすくなるでしょう。
ご紹介した情報を参考に、貴社のオフィスに最適なデスクを選んでいただくとともに、社員の皆さまが快適に使えるデスク周りとなることを願っています。
オフィスのデスクサイズに関する
よくある質問
レイアウト変更に適したデスクは?
増員などによるレイアウト変更が多い職場なら、キャスター付きの机など、移動しやすい机を選んでもよいでしょう。あるいは、ロングデスクにいくつかの椅子を入れるタイプの座席なら、椅子の数によって増員や減員に対応できます。リモートワークやテレワークが多い場合は、フリーアドレス制を導入して好きな席に座れる仕組みにしてもよいでしょう。
オフィス・事務所におすすめの椅子はありますか?
座面にクッション性があり、背もたれが多少はリクライニングできるような回転椅子がおすすめです。長時間の作業が必要な職場では、肩甲骨の上まで背もたれがある「ハイバック」の椅子を選ぶことで疲れにくくなるでしょう。反対に、プラスチックなどの硬さがある固定の椅子は、お尻や腰の痛みにつながるためおすすめできません。