01 | オフィスBGMとは?
オフィスにBGMを取り入れたい方必見!|
導入方法や効果、メリットについて作成日:2024.5.9更新日:
より風通しがよく働きやすいオフィスづくりや、生産性を向上させるために、オフィスへのBGMの導入を考えている方もいることでしょう。
オフィスにBGMを流すことで、どのような効果が得られるのでしょうか? あるいは、楽曲の著作権など、BGMを導入する際に注意すべきことはあるのでしょうか。この記事では、オフィスへのBGMの導入について、知っておくべき知識を網羅的にご紹介します。
コラムの目次
02 | オフィスにBGMを取り入れる
メリット
03 | オフィスBGMの導入事例
04 | オフィスBGM導入の具体的な方法
05 | 導入時の注意点とは?
06 | オフィス向けのBGM
ジャンル・選曲例
07 | 「オフィスBGM」に関するまとめ
08 | 「オフィスBGM」に関する
よくある質問
オフィスBGMとは?
オフィスBGMとはその名の通り、オフィスで流す背景音楽(バッググラウンド・ミュージック)のことです。
従来のオフィスでは、音楽などは流さず、静かな部屋で作業するのが一般的でした。しかし、近年はオフィスBGMを取り入れ、より働きやすい活気のある空間を目指す企業が増えています。
店舗や街中でのBGMは、主に雰囲気を明るくしたり、場を盛り上げたりするために用いられます。また、利用者の購買を促す、販売促進の効果も期待できます。
オフィスBGMの場合も、雰囲気が明るくなるため、職場の活性化やコミュニケーション促進につながります。また、音楽や自然音を上手に取り入れることで、職場の集中力アップや生産性向上の効果も期待できます。
オフィスにBGMを
取り入れるメリット
ここでは、オフィスBGMによって期待される効果をいくつかご紹介します。
・社員のストレス軽減
・コミュニケーション促進
・モチベーション管理
・マスキング効果による集中力向上
・時間管理に役立つ
・意識の切り替えに役立つ
社員のストレス軽減
心地よい音楽には、人の心を落ち着け、ストレスを低減させる効果があります。
心理学の研究でも、好みの音楽を聴くことで気分がよくなったり、リラクゼーション音楽によってストレスホルモンであるコレチゾールが減少したりするという効果が報告されています。
また、近年の研究では、音の振動に背骨が反響し、自律神経を整える効果があるとされています。適切な音楽や自然音をBGMとして流すことで、従業員の心身の改善が期待できます。
コミュニケーション促進
静かな環境で作業をしていると、自分の発言が沈黙を破ることを避けるため、なかなか周囲との会話が生まれにくくなってしまいます。
その点、常に心地よいBGMが流れている職場であれば、自然と雰囲気も明るく開放的になります。沈黙が気にならないため、隣の席の人との会話も生まれやすくなるでしょう。
緊張感が緩和されるため、取引先や求職者の方が来社した際の印象アップも期待できます。
モチベーション管理
職場に音楽をうまく取り入れることで、まるでカフェで作業をしているような快適さが生まれます。
働きやすい職場環境は、社員の満足度向上、ひいては仕事へのモチベーション向上にもつながります。
また、集中時には脳からβ(ベータ)波という脳波が、リラックスしているときにはα(アルファ)波という脳波が出ていると考えられています。集中力を上げるためには、β波を出すのがよいと思われますが、この状態が持続するのは60~90分程度。
定期的に脳をα波の状態にしてリラックスするために、α波音楽を取り入れることで、休憩後はまたβ波で仕事に集中できます。リズム感を意識した選曲にすることで、より効果的にモチベーションや集中力を維持しやすくなるでしょう。
マスキング効果による集中力向上
マスキング効果とは、同じ周波数の音が重なることで、一方の音が聞こえにくくなることを指します。音が音を覆い隠す(マスクする)ため、雑音が気にならなくなるのです。
オフィスでの雑音といえば、キーボードのタイピング音や、コピー機の作動音、空調の音、電話のベルや会話の声などがあります。これらの声が気になって、うまく自分の作業に集中できないという人もいるかもしれません。
そのような場合も、オフィスBGMを流すことで雑音がかき消され、音が気になりにくくなります。このような音同士の「マスキング効果」により、より集中して作業できる効果が期待できます。
時間管理に役立つ
一日の中で、時間ごとに適したBGMをかけることで、メリハリのある時間管理にも役立ちます。
例えば、始業時は爽やかに仕事を始めるための、小鳥のさえずりを含むクラシック。昼食後の眠気が来る時間帯は、やる気が出て背筋が伸びるような勢いのある音楽。ノー残業デーには、終業時間に帰宅を促す音楽やアナウンスを流すのもよいでしょう。
このように、タイムスケジュールに応じてBGMを変えることで、一日のリズムを習慣化させることができます。時計を確認しなくても、今やるべきことを把握し、行動を切り替えることができるでしょう。
意識の切り替えに役立つ
仕事と休憩のオン・オフの切り替えにも、BGMは一役買ってくれます。例えば、カフェエリアや休憩室では、リラックスできる音楽や賑やかな楽曲を用いることで、プライベートに近い気分でくつろげる空間を演出できます。
また、受付や応接室のBGMは、企業イメージにもつながる重要なポイントです。企業の雰囲気を伝えるとともに、緊張感を和らげるようなおもてなしのBGMを選ぶことで、来客時の会話も弾むのではないでしょうか。
オフィスBGMの導入事例
近年、職場でのメンタルヘルス対策が注目を集め、オフィスBGMを導入する企業が増えています。
それに伴い、オフィスBGM専門の配信サービスも登場しました。
例えば、株式会社USENは、オフィスBGMに特化した音楽配信サービスである「Sound Design for OFFICE」を展開。朝には小鳥の声入りのクラシック、夕方には免疫力を高める健康BGMなど、機能的ベネフィットを追求したプレイリストが時間帯ごとに再生されます。富士通、三菱重工業、アシックス、JR九州など、7万社以上で導入されているサービスです。(※)
さらに、革新的なオフィスで知られるGoogle社は、各国のオフィスにギターやドラムセット、ピアノなどの楽器を備えた「音楽室」を用意しています。独自の文化を醸成し、斬新なアイディアを生み出すためにオフィスにこだわるGoogleもまた、音楽の偉大な力を活用しているようです。
オフィスBGM導入の
具体的な方法
オフィスにBGMを導入するには、どのようなステップを踏むべきなのでしょうか。ここでは、オフィスにBGMを導入する具体的な流れをご紹介します。
音楽メディアを比較する
まずは、どのようなメディアから音楽を再生するかを決める必要があります。
音楽メディアとは、どのような媒体で音楽を再生するかということです。代表的な音楽メディアには、次のようなものがあります。
・ストリーミングサービス
・ラジオ
・CD
ストリーミングサービスは幅広い選曲が魅力
ストリーミングとは、音楽のデータをダウンロードすることなく、データを受信しながら同時に随時再生していく仕組みの配信方式です。
ストリーミングサービスは、基本的には月額料金制ですが、中には広告付きなどで無料利用できるものもあります。例えば、YouTubeなどもストリーミング再生できる動画配信の一種です。
ただし、オフィスBGMとして利用する場合は、広告を避けて有料プランを利用する企業が多いのではないでしょうか。
ストリーミングの特長は、インターネットを通じて音楽が配信されるため、さまざまな楽曲を楽しめること。同じ曲ばかりで飽きてしまう心配は少ないでしょう。
また、オフィスBGMに特化したストリーミングサービスを利用するのも一つの方法です。近年は、要望に合わせてBGMのテイストや、指定の時間に流すアナウンスをカスタマイズしてくれるサービスも登場。 本格的にオフィスBGMに取り組むなら、オフィスBGM専門のプロに相談するのもよいでしょう。
コストを抑えるにはラジオやCDもおすすめ
ストリーミングサービスを利用すると、どうしても月額制や従量課金制のサービス利用料がかかるものです。
一方で、CDやラジオであれば、再生するための機器さえあれば、初期費用と電気代だけでBGMを流せます。CDの場合はCDとコンポ、ラジオの場合はラジオ受信機とスピーカーを用意すれば、ずっと音楽を楽しむことができます。
特にラジオは、毎日違う音楽を聴くことができるので、コストを抑えてオフィスBGMを導入するにはおすすめの方法です。CDの場合は、新しい曲を聴こうと思うと追加の購入費用がかかります。しかし、ラジオの場合は初期費用を払えば、あとは電気料金だけで運用を続けられます。
スピーカーを設置する
音楽を流すスピーカー選びも、オフィスの空間づくりで重要なポイントです。
スピーカーによって、音が届く範囲は変わります。オフィスの広さに合わせて、スピーカーの最適なサイズや数を選びましょう。
スピーカーの種類も、持ち運びやすい「ポータブルスピーカー」、音質のよい「ハイレゾスピーカー」など、特徴はさまざまです。設置方式も、天井への埋め込み式、吊り下げ式、卓上式など、いろいろな種類があります。
小規模のオフィスで簡単に取り入れるなら、ポータブルスピーカーにスマートフォンを接続し、ストリーミングサービスやインターネットラジオを流すこともできるでしょう。また、大規模なオフィスで本格的にオーディオを導入するなら、業務用スピーカーの設置工事が必要になるかもしれません。
オフィスの規模や、どれだけ本格的にオーディオを取り入れるかによって、最適なスピーカーやオーディオ機器、設置方式を選んでください。
スピーカー選びの注意点
オフィスの規模や予算によって、最適なスピーカーは変わります。
例えば、天井埋め込み式のスピーカーは、内装を邪魔せず、オフィスを広々と使えるという特長があります。一方で、天井工事の費用がかかるため、小規模オフィスで予算も抑えたいという場合には適していないかもしれません。
また、イベントなどでスピーカーを動かす場面があるなら、簡単に動かせるポータブル式、Bluetooth式などのスピーカーがおすすめです。
せっかくオフィスBGMを導入するなら、音質にもこだわりたいところ。高音質といえば、候補に挙がるのは音楽通にも人気が高いハイレゾスピーカーかもしれません。しかし、その力を発揮するには、スピーカーを買うだけでは不十分です。
ハイレゾ音源とは、CDよりも多くの情報量を持ち、よりリアルなディティールやニュアンスを感じ取れる音楽データです。ハイレゾ対応の音源は、インターネットで購入するか、ハイレゾ対応のストリーミングサービスを選ぶ必要があります。ハイレゾスピーカーでCDを流しても、ハイレゾの音質が発揮されるわけではない点に注意しましょう。
導入時の注意点とは?
実際にオフィスにBGMを導入することが決まったら、どのような点に注意すべきなのでしょうか。ここでは、オフィスにBGMを導入する際の注意点をご紹介します。
BGMがうるさい?適切な音量設定を
音楽をかけるといっても、あくまでBGMとしての音量にとどめましょう。一般的な店舗や街中でのBGMと比較しても、オフィスのBGMは低めの音量設定が推奨されます。
作業の邪魔にならず、気が散らないような音量設定が重要です。一般的には、40~50dB程度が、オフィスBGMの目安の音量設定です。
人のちょっとした会話や、クーラーの稼働音が響く静かなオフィスの音量は、40~50dB程度といわれます。
60dBになると、テレビや洗濯機ほどの音量で、「うるさい」と感じる人が多いでしょう。時間帯や用途によって、最適な音量にBGMを調整するとよいでしょう。
音を測るには、騒音測定器を利用するか、簡易的にスマホアプリを使うこともできるでしょう。室内の場所によって聞こえ方が変わるため、いくつかの場所で聞こえ方を確認することをおすすめします。
著作権違法?著作権使用料の支払いの有無
意外な盲点となるかもしれないのが、再生する音楽の著作権です。
お店などの施設、あるいはオフィスでも来客のある場所でCDや音源を流す場合は、JASRACへの申請が必要になります。(※)
来客の多いオフィスや、一部が店舗となっているオフィスで版権BGMを流す場合は、著作権使用料を支払う必要が生じます。版権BGMとは、著作権のあるBGMのことです。
ただし、ラジオ放送をそのまま流している場合や、従業員だけがいる場所で音源を利用している場合は、手続きの必要はありません。また、著作権フリーのBGMを流す場合も、許諾を得る必要はありません。
著作権侵害に当たるようなBGMの利用で、JASRACとの係争に発展することもあります。BGMとして流す音源の著作権をきちんと確認し、必要に応じてJASRACに申請しましょう。
オフィス向けのBGM
ジャンル・選曲例
オフィスBGMを取り入れるうえで、最大の課題ともいえるのが「選曲」です。
どんな曲を流すかで、オフィスの雰囲気はガラッと変わります。また、飽きが来ないように定期的に曲を入れ替える必要もあります。
オフィスにふさわしい曲を選ばないと、かえって従業員の満足度が下がったり、来客時の印象を下げてしまったりすることも。必要に応じてプロに相談しながら、最適なBGMを選定してください。
オフィスにおすすめの音楽
オフィスの定番は、ボーカルなしで楽器のみの、インストゥルメンタル音楽です。特にクラシックやジャズなど、カフェやレストランでも流れているような、聞き流しやすい音楽なら作業の邪魔になることもないでしょう。
クラシック音楽には緊張を解き、集中力を高める効果も期待できます。あまり主張の強くない音楽を選ぶことで、来客時にも違和感を与えず、自然にゲストの耳を楽しませてくれることでしょう。
曲調としては、あまりにアップテンポ・スローテンポの曲だと、仕事のリズム感と合わないかもしれません。時間帯や場面にもよりますが、ミドルテンポのクラシックやジャズ、ボサノヴァなどのインストゥルメンタル音楽なら、どんなときも職場にマッチするのではないでしょうか。
集中力を高める自然音の活用
オフィスBGMに自然音を取り入れるのもおすすめです。
川のせせらぎ、波のさざめき、小鳥のさえずりなど、自然音には心癒す効果があります。1/fゆらぎといって、不規則性と規則性が心地よいバランスで混ざり合った音には、リラックス効果、免疫アップ、集中力向上などの効果があるとされています。
また、自然音には人間が聞き取れない高周波が含まれており、それによるリラックス効果も期待できます。自律神経が整い、ストレスを和らげるメリットがあるとされています。
エントランスや休憩室など、エリアを絞って流水音や小鳥の声を流すこともできます。朝の始業時やリフレッシュしたい午後など、時間帯に合わせて自然音を取り入れるのもよいでしょう。
気分転換におすすめの音楽
1日の中で、ずっと同じ曲調の音楽を流すよりも、テイストの違う音楽も入れてみると気分転換になります。
例えば、朝礼や休憩の際に、気分を切り替えて元気が出るような音楽を取り入れるのもよいでしょう。午後の眠くなる時間帯に、アップテンポな曲調の音楽を流すこともできます。会社によっては、朝礼前にラジオ参加の音楽を流し、任意参加で体操をして1日を始めるところもあるようです。
ただし、作業中は静かに集中したいという方が多いので、通常のBGMとメリハリをもたせる必要があります。
特定の音楽でルーティンを定着させる
時間帯ごとに流す音楽を変えることで、ルーティンを定着させる効果があります。
午前と午後で流す音楽を分けたり、特定の時間に同じ音楽を流したりすることで、気分を切り替えてリフレッシュすることができるでしょう。例えば、毎日の「片付けタイム」に15分間、同じ音楽を流しているという企業もあります。
また、残業防止にBGMを活用している会社も増えてきました。退社時刻が近づいてきたら、一定の音楽とアナウンスをかけることで、ノー残業デーの促進につながります。
オフィスに向かない音楽
一般的に、オフィスBGMに向いていないとされるのは、ボーカル付きの音楽です。
特に資料の読み込みや、複雑な計算、思考が必要なときに、楽曲の歌で気が散るのは望ましくありません。つい口ずさんでしまうような人気曲も、仕事への集中を妨げてしまう可能性があります。
みんなが知っているヒットチャートの音楽なども、コミュニケーション促進にはつながりますが、黙々と作業する時間帯にはふさわしくないでしょう。
休憩室や限られたオケージョンで、限定的に洋楽やJ-POPを用いるのはよいかもしれません。しかし、綿密な作業を要するような執務室では、基本的にはインストゥルメンタルのクラシックやジャズなどがおすすめです。
また、「音量が大きすぎる」「いつも同じ音楽」といったストレスで、BGMが逆効果になることも。必要に応じて社員へのヒアリングを行い、定期的に音量や選曲を見直すとよいでしょう。
「オフィスBGM」に
関するまとめ
この記事では、オフィスにBGMを取り入れる効果に始まり、効果的な活用法や、選曲のポイントなどをご紹介しました。
オフィスでBGMを活用することで、働きやすさの改善、コミュニケーションの活性化、オフィスのイメージアップ、集中力向上といった効果が期待できます。また、時間管理や意識の切り替えのために、時間や場所によってBGMを変えるのもおすすめです。
特にオフィスBGMにおすすめの音楽ジャンルは、ミドルテンポのジャズやクラシックです。そのほか、自然音を活用したり、社風を表現するような音楽を選んだりするのもよいでしょう。
オフィスを快適なワークスペースに変え、生産性を向上させるために、このコラムで得た知識をご活用ください。
「オフィスBGM」に
関するよくある質問
ラジオは著作権フリーでBGMにできますか?
AM・FMなどのラジオ放送をそのまま流す場合は、著作権の手続きは必要ありません。しかし、インターネットラジオの独自コンテンツなど、一部、利用許諾手続きが必要なこともあるので注意が必要です。
BGM以外にも、マスキング効果のある音はありますか?
小さな音を流すことで、話し声や音漏れが気になりにくくなるというのが「マスキング効果」。このマスキング効果を狙って、空調のような特殊音を再生するサウンドマスキング製品を利用することもできます。音楽以外の方法でマスキング効果を出したい場合は、このような製品も検討できるでしょう。